ギャラリートーク

出品作品に対する作家の思いを読む事ができます。


あした(F40)

(※美術の窓掲載作品。非展示作品)

 

もともと「風景を描かなかった」自分がそれを描くようになったのは、

数年前のイタリアへの取材旅行の刺激が大きかったと思います。

    トスカーナ地方の空と雲のスケール感

    丘陵地帯の広がり、ぽつんとある標識

     フィレンツェの広場にあったメリーゴーランド

普段と違った環境で自分の五感が刺激されたのだと思います。

そんな事があって、トスカーナの空やフィレンツェのメリーゴーランドを描く様になりました。

自分の視点の幅が少しだけ変わったのでしょうか。

しばらくすると、日本の空の素晴らしさにも絵にしたくなりました。

考えてみれば、中学校で習った清少納言「枕草子」でも

「秋は夕暮れ・・・」と記す位ですから、

四季のある国「日本」の空は素晴らしいに決まっているのかもしれません。

私にとりまして「秋の夕空」の魅力には

    晴れの日が多いために様々な「夕焼け」を見ることが出来る。

    気温や比較的に空気が澄んでる感じが気持ち良い。

    光がきれいに見える気がする。

こんな理由があると思っています。

 個人的には雲が「存在感」と「光と影」の演出に大きな役割を果たしていると思います。

    「光の三原色」で表現された光

    「抽象的な存在」としての雲

描く時にはこの2点の意識が大きいと思っています。

 


メリーゴーランド(F15)
メリーゴーランド(F15)

私が空や雲を描くようになったのは、数年前のイタリア取材旅行がきっかけでした。

ウフィッツィ美術館を始め、素晴らしすぎる作品達に過呼吸気味になり

私は自分自身の無力感でいっぱいになってしまいました。

ところが、その気持ちを癒し、前向きにしてくれたのは、

それからのトスカーナ取材(スケッチ、資料作りの写真撮影、自動車運転等)の日々でした。

 「こんな空や雲を描いてみたい」生まれて初めてそう思えました。

果たして、雲は「具象」なのか「抽象」なのでしょうか?

しかしながら、その存在には感情や気分までも動かされる説得力があります。

「自然」そのものですから、それは当たり前の事だとも思います。

私自身の「夢のある絵を描いて生きたい。」という信条にも合致していました。